1. ホーム
  2. セブ島通信

理事の記事① [セブ島通信7月号]

理事の記事① [セブ島通信7月号]

規制中に体験した買い物について

セブ島通信7月号9

セブ日本人会 会長 松田和人

会員の皆さま、5月号で外出制限や臨時便のことを発信してから2ヶ月が経ちます。ここにきて規制が今までで一番厳しくなるとは誰が想像していたでしょうか?まだ正式にどのような規制が敷かれるかはわかりませんが、軍が介入するということは今まで通りではないことは確かだと思います。皆さまがセブ島通信を読んでおられる頃には、また状況が変わっているのかもしれません。

今回は理事のメンバーでこの規制中に感じたことなどを発信しようという提案がありました。セブ日本人会としましても未だ事務所を再開する目処も立っていませんがメールやFacebook、そしてこのセブ島通信で皆様に発信し続けます。

私個人が今回の規制中に体験した中で、買物について書いてみたいと思います。セブに来て8年目を迎えていますが、この期間中ほど、スーパーマーケットに行ったことはありません。日本在住を含めても同様かもしれません。セブ市内のスーパーマーケットには詳しくなったと思います。しかし、この時期の買物は皆様もご存じのように大変なものです。

車で移動するにもナンバーコーディングがあり、いつでも行けるわけではありません。そしてスーパーマーケットも入場制限をしているため、入るまでにかなりの時間、場所によっては外で待たないといけません。一度ありましたが、外出するためのパスを忘れて長時間並んだにも関わらず、入れませんでした。

今まで聞いたことがあるスーパーマーケットによって品揃えだけでなく物の優劣も違うということを自分が行くようになって身にしみてわかりました。当然、日によって仕入れ状況も違い、時間帯によって在庫がどうかも変る、主婦の方にとっては当たり前のことをわかっていませんでした。

それによって一カ所で買物が終わらず、別のスーパーマーケットに行き、時間をかけることも度々です。またレジに行って毎回、長時間並ぶ洗礼を受けています。改めて日本のレジにおけるシステムが進んでいるかを痛感します。なぜ改善しないのか不思議です。せめて支払後の袋詰めをセルフにするだけでもずいぶん改善すると思って見ています。

個人的にはカントリーモールが気に入っています。リニューアル後は陳列配置の改善で見やすくなり、野菜も新鮮で、最近は日本食材もがんばっているように思います。近くに肉がおいしいパールがあるのも気に入っている理由の一つです。

しかしながら、日本人同士の食材の会話の中で必ず出てくるのは、納豆や豆腐です。通常であれば協賛店にもなっていただいている町屋さんに行けば納豆は調達できていましたが、規制中は入荷されていません。もう一つ残念なのは、森永が出していた日持ちもする豆腐が生産中止になったそうです。今までは、それ以上探してみようなどと思ったこともありませんでしたが、買えないとなるとほしくなるのが人間の心情です。それで、納豆はYAMATOYAさんで調達でき、豆腐はメトロや韓国食材店にあることも知りました。また最近、他でも買えることがわかりました。また最近は三河屋さんという新しい日本食材店もできたり、各スーパーマーケットに以前より日本食材が増えてきたことも喜ばしいことです。

単純に買物といえども日本と違い、食材が豊富でないこと、野菜等かなり高価であることなど、難しいことが多くあることを知った規制期間です。今後まだまだ不便が続くと思いますが、ささやかではありますがこのような生活に直結する情報交換も日本人会の会員様同士でできるとうれしく思います。

 最後になりますが、 セブ市においては不自由な生活がまだしばらく続きストレスも多くなると思いますが、ご自愛なさってください。また何かお困りの事がございましたら、日本人会の方にもご相談ください。

第3次世界大戦

セブ島通信7月号13

セブ日本人会理事 藤岡頼光

人類は新型コロナウイルスと世界大戦を行っています。今までの世界大戦と違うのは、相手が見えず、感情を持たず、情け容赦ないウイルスだということです。

人類はかつてない苦戦を強いられています。しかし、負けることができない戦いなので、力を合わせて頑張るしかありません。

セブ市は世界最長のロックダウンが続いています。終わりの見えない不自由な生活をしていて、ふと戦後フィリピンに残った日本人のことを考えました。

8月15日の終戦記念日が近づいてきたからかもしれません。

現在、いろいろな制限のある生活をしていますが、戦後フィリピンに残って頑張っていた日本人を思えば、恵まれていると思います。

もちろん、戦後のフィリピンを正しく知っているわけではありませんが、大変だったと想像できます。何もない中、日本からの援助もなく、フィリピン人からも敵視されていたのですから。

しかし、戦後反日感情が強かったフィリピンが親日の国になりました。それはフィリピンに残った日本人がフィリピンに貢献したからです。

今、セブ島は新型コロナウイルスの影響で大変ですが、当時の日本人を参考にフィリピンの為になる行動が必要なのではないでしょうか。

もちろん積極的にできることは少ないですが、自粛をしっかりと守り、健康に過ごしたいと思います。

新型コロナウイルスの影響で日本とフィリピンがさらに友好になったと言われるようになりたいです。

生き抜こうコロナ危機〜我が家の場合

セブ日本人会 副会長  櫻井絹恵

人口約100万人のセブ市は「新型コロナの激震地」と言われ、7月15日までのECQ防疫強化地域延長が決まった。世界で最長のロックダウンを更新した。

37年前からセブに居住しているが、これまでマルコス政権での戒厳令や、政変、幾度ものクーデターを乗り越え、更には自宅から空き地を挟んだ家にはNPA幹部が住んでいてフィリピン軍との銃撃戦になったこともある。コロナでは別に鉄砲の弾や手榴弾が飛んでくるわけではないが、見えない敵ほど恐ろしいものはないと思っている。

私も3月半ばから感染を恐れて自主的に籠城生活をしている。洗剤や紙製品、消毒用アルコールなどの生活用品、食料品、医薬品、酒類も最悪のシナリオを想定して半年分購入した。米50キロを6袋、業務用ガスボンべ4本、発電機用のディーゼル4缶買い、パンデミックが酷くなり食料調達にも出れなくなった最悪状況も考え、缶詰コーンビーフとミートローフも2ケースずつ買いこんだ。チェストフリーザーは肉類と魚介類、冷凍食品で満杯にし、庭には取りあえず収穫の早い葉物やネギ、ニラ、つるもののゴーヤや隼人瓜を植えた。ミネラルウォーターも5ガロン容器で40本買い混んでいる。根物野菜は長持ちする様に冷蔵庫保管で対応した。

何で半端ない量を備蓄したかというと、我が家には次男家族だけでなく1年半前に火事で家を無くしたガード家族を住まわせている。旦那が警備員、奥さんがお手伝いとして奉公してくれていて、今回のコロナ感染問題が浮上し、住み込みで雇い入れていて本当に良かったと思っている。通いだと感染リスクが高く通勤してもらうのも困難になるからだ。

しかしながら2家庭分の食料備蓄をする義務が生じ、全員が生き残る為には店を開けるぐらいの気合いで買い込み、最悪に備えるしか無かった。食べ盛りの子供4人と大人5人、愛犬2匹、アロワナなどの肉食魚3匹、十姉妹4羽の籠城生活。2家族と愛犬の三食の準備をして食べさせるだけでも大変だ。それにアロワナは生き餌しか食べないのでスーパーワームを大量に買い込み、餌用にグッピーなどの小魚やヤモリを育てないといけない。子供達は未成年のため24時間外出禁止令が発令されていて、毎日何をさせてストレスを発散させるのかも私の挑戦となった。

まるで給食おばさんの様な毎日で開けても暮れても食べさせるのに追われる日々が延々と続く。子供達はゲーム以外に食べることしか楽しみがないので食事の時間を待ち遠しくしている。子供は御飯の時間になったら呼ばなくても先に来てテーブルで待っていて私に、ではなく作っている食べ物に熱い視線を送る。私の料理を何より楽しみにし、沢山食べてくれるのは作る方としてはやり甲斐がある。

長い間開けていなかった料理の本を沢山出して、多国籍料理など新しいレシピにも挑戦する。手持ちの材料を確認しながら献立を立てるのも一苦労だ。

魚や野菜や果物、パンなどはデリバリーしてもらうが、小麦粉やコンデンスミルク、ホットケーキミックスなどが市場から消えた。ロックダウンで子供達とお菓子作りをする人達が急増し、皮肉にも供給が需要に応えられなかったのだろう。仕方なく我が家もクッキーやお菓子作りも一時中断している。

ロックダウンで私を癒してくれているのはスピッツの愛と太郎だ。特に太郎はマニラから息子が取り寄せてから、昼間は私の部屋に入り浸っていてまるで息子同然になっている。

我が家のお犬様はおもちゃも沢山貢いでもらっていて籠一杯の中から好きなものを選んで遊ぶ。最初は太郎ちゃん布団で寝ていたけれど、最近は図太くなって私のベッドで寝るようになった。ベッドカバーの上に更にテーブルクロスを敷いて、犬の毛が直にベッドの触れないようにしているけれど、御本人は既に占領したかの様に思っている。

ガーゼのタオルケットをかけると条件反射で夢の世界へと入っていく。犬なのに腹を上にして爆睡し、いびきもかけば寝言もいう。その甘えん坊の太郎が、この5日前から母を忘れてしまった。発情期の愛にべったりで急に男になってしまったのだ。

愛は7歳で人間で言えば40代半ば、太郎は1歳になったばかりで中学1年の男の子みたいなものだ。精通があったばかりの子が熟女を追いかけ回している。ロックダウンベイビーは普通になっていて、フィリピンでもクリスマス頃からベビーブームになるが、我が家では2ヶ月後に愛と太郎の愛の結晶が産まれそうだ。

愛は初産で高齢出産になるので油断できない。安産である事を祈るばかりだ。

セブは感染者数が急増し、遂には医療崩壊まで起こって深刻な状況に陥っている。知っている人達や親戚も感染し病院で闘病しているが、7人の友人がコロナ感染で命を落とした。

その内4名は医療崩壊の為病院をたらい回しにされたあげく、入院出来なかったり入院出来たとしても処置もされずに亡くなっている。医療従事者や最前線で動いている人達は感染リスクが高い為に自宅にも帰れずに頑張っている。

私達は長引くロックダウンで各自かなりの影響を受けているが、命を張って社会の為に貢献してくれている人達の事を決して忘れてはならない。フィリピンは若い年齢層が多く無症状感染者も普通に出回って菌を撒き散らしている。親戚も感染を恐れてデリバリーだけで生活してきたがデリバリーをする配達人から感染した。

今のセブは何処で感染するか分からない状況で、頻繁にアルコール消毒、手洗い、うがいを徹底して自己防衛するしかない。買った物や現金も消毒スプレーするなど神経質なくらい除菌を心がけて身を守って欲しい。自分と家族、周りの人達を守るため、「移らない!移さない!」を常に心がけて欲しい。何があってもコロナ危機を生き抜きましょう!

豆腐とインターネット

セブ島通信7月号14

セブ日本人会 理事 蝶谷正明

コロナ騒動でもう3ヶ月以上自宅軟禁状態です。リタイアの身ですから、ジタバタしても仕方ないという開き直りも出来るのが助かります。さて、64歳という年齢から見るとパソコンのスキルは同世代の平均よりかなり低いのでしょうが、インターネットは大いに活用しています。初めて海外で生活したのが1970年代後半。当時はNHKの短波放送と運が良いと1週間遅れくらいで手に入る日本の新聞のみが日本語情報。国際電話は高くて手が出ず、ファックスも一般的ではなかったので私信はもっぱら国際郵便で返信が1ヶ月後という時代です。日本語の本と言っても日本大使館の待合室や日本クラブで借りてくるくらいのものでした。それがインターネットのお陰で自宅にいながらにしてメールはおろか顔を見ながら通話が出来、調べごとにも事欠きません。

当時のことを思えば想像すら出来ない技術発展です。そのお影をこうむったコロナ渦中のエピソードです。ある日幸運にも出来立ての豆腐を8丁も手に入れ入れることができましたが、いかに豆腐好きとはいえ夫婦でいたみやすいこれだけの量を完食するのは無理だという現実に直面しました。湯豆腐、麻婆豆腐、揚げ出し豆腐、味噌汁等々レシピは思いつきますが、豆腐という素材がそのままで味付けや調理法を変えるだけでは飽きが来てしまいます。そこでインターネットの登場です。時間は幾らでもありますから、調べるのには困りません。ヒットしたのが自家製高野豆腐と塩豆腐製造法です。高野豆腐なんてものは乾物でしかお目にかかったことがなく、大根やニンジンと煮て食べる以外に想像も出来ない食品です。粉っぽいスポンジのような食感の上、ちょっと薬臭いので個人的にはあんまり積極的に食べたいものではありません。

しかし、せっかくの豆腐を無駄には出来ないので自家製高野豆腐製造法に則り、大して期待もせずに挑戦してみました。3cm厚くらいに切り、水を切って冷凍庫に入れて凍ったら解凍して手で絞って脱水。たったそれだけです。火山弾の表面のようにボコボコ大小無数の穴が開いています。薬臭さも全くなく、豆腐本来の豆の香りです。最初はニンジン、大根、椎茸と精進の出汁で炊いてみました。これが本来の僧坊で食べられていた高野豆腐なんだと実感しました。調べてみるとやはり市販のものは食品添加物をいろいろ使っています。もちろん健康に問題ないのでしょうし、経済性を考えると致し方ないのは理解出来ます。何でもかんでも自家製なんてことはありえません。個人が自分のために無理せず継続出来るには「簡単」というのが重要な要素です。

ここに突破口が開き、高野豆腐という素材が身近になってみると、味を含ませて唐揚げにしたり、フライパンで和洋中華様々な味付けで焼いてみたりと世界が広がっていきます。塩豆腐は塩を振ってキッチンペーパーで包んで冷蔵庫に入れておくと水分が抜けてネットリした食感になります。そのままでも良いですが、オリーブオイルやごま油をかけてネギやニラで食べると、言われなければ豆腐とは分からない食品になります。色からいってヤギのチーズみたいな感じです。揚げたり焼いても結構なものです。豆腐という本来日本人には空気のような身近な食品が、インターネットの協力を得ると大きく変化していきます。

コロナという前代未聞の異常事態の中で、インターネットの存在は少なくとも私にとっては重要性を飛躍的に増しました。新旧の映画を見る、落語を聞く、調べ物をする、ネットサーフィンで自由に知識の海を飛び回る、友人や家族とチャットする等々。もしもインターネットが無かったら私は精神的に耐え切れなかったと思います。もちろん弊害もあるでしょうが、良い関係性を築き上げれば、実に素晴らしい友になってくれるのではないでしょうか?

オンライン懇親会に参加しませんか?

セブ島通信7月号15

セブ日本人会理事 荒木寛

コロナ禍の影響で外出が出来なくなった昨今、セブ日本人会では何かできないかと考えオンライン懇親会を発案しました。セブの通信環境やITに対する知識のレベルによって参加できる人、参加できない人が出てくるのではないか?等、懸念は多くありましたが、「まずはやってみよう」という想いで第一回の会をXX月XX日に実施してみました。結果として第一回はXX名の方に参加いただき、以降XX回もオンライン懇親会を実施しています。

オンライン懇親会って何?盛り上がるの?楽しいの?

オンライン懇親会にはZoomを使っています。PC/MAC/タブレットで参加いただければ、参加者複数名のビデオが投影され、顔を見ながら会話することができます。画面が小さいスマートフォンで参加も可能ですが、その場合は同時に表示される人数は制限されるものの、発言するとカメラにフォーカスが当たりますので、スマートフォンでも不自由なく参加することができます。よって実際に人と会って話すよりは劣るものの、意外と「普通に」会話をすることができます。

(イメージ)

正直言って、毎回が大成功という訳ではありません。やはり通信環境が悪い方もいたり、この状況下なので暗い話に偏ったりすることもあります。しかし、この状況下で新しい「出会い」があったり、自分には無い情報を他から得ることができたりと、ポジティブなことも多々あります。例えばセブ日本人会が準備した臨時便で帰国された方からの帰国経験談やビサの更新手続きについて、どこで何を買えるとか、等々の情報を入手することができます。また、何よりもあまり「人と接する」ことができなくなった昨今では、人と(日本語で)交流できるということは良いことだと感じています。

まだ参加したことがない方は是非次回開催に参加してください。悩み事相談でも、自慢話、面白話の共有。なんでもOK。まずはやってみて、もし退屈であれば途中で抜けるのも良し、忙しくて途中からの参加でも良し。参加する場所は問わないし、移動する面倒も無いので、気楽に参加して頂ければと思います。今後参加人数が増えた場合はテーマに依って「部屋」を分けたりすることも考えたいと思います。

セブ島通信2020年7月号

セブ日本人会理事 安藤尚子

 日本では、6月19日から県外をまたぐ移動制限も解除され、感染対策を徹底しながらも経済活動の再開へ軸足を移しはじめています。

 今回の新型コロナウィルスの特性についても解明されつつあります。日本や東アジアでは、感染による死者が欧米に比べいちじるしく低く、ノーベル賞受賞者山中教授の言う「ファクターX」未知の要因(文化・衛生・対策・遺伝子・過去の感染など) の解明は、重要な要素となります。

 2月、横浜港でクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号で集団感染が発生しました。クルーズ船乗客らは回復し帰国。その後、日本の手厚い看護と治療にフィリピン・アメリカ・ドイツ・オーストラリア・イギリスなどから感謝が伝えられました。

 4月、日本では緊急事態宣言が発出されました。しかし、不要不急の外出自粛は「要請」に過ぎません。日本国民は法的拘束力や罰則がなくとも自発的に自粛を遵守し行動する社会でした。

海外からは当初、日本はミステリーだとかデータを隠しているなどと、陰謀論的にも受け止められていましたが、今では圧倒的な死者の少なさが「日本はどうやっていたのだろう?」と「Japan miracle」として日本は成功した例として見直されています。

日本の保険医療の構造が強固である事や、「ファクターX」から来るものなのかもしれませんが、日本人は本当に頑張っていると思います。

 今回の新型コロナウィルスにおける、メディアやSNSでのインフォデミック(真偽不明の情報や虚偽の情報が流布し、これを多くの人が真に受けてパニック状態となり、社会の動揺が引き起こされること)は凄まじいものでした。

 今回に限っては患者数ではなく、日々増加する感染者数を基準に、右肩上がりに伸びていく累計感染者数を取り上げました。感染者は検査をすれば当たり前に増えるものであり、逆に退院者数を報じないことに違和感を抱きました。海外の死者数や医療崩壊の衝撃映像など、海外の惨状と日本の状況をごちゃ混ぜに報道しました。多くの国民が自粛する中、自粛を守っている国民性は報じられず、一部の自粛しない人や店をクローズアップし、犯罪者のように報道しました。PCR検査についても、検査の精度があまり高くなく問題点が指摘されているにも関わらず、全ての体調不良者がPCR検査を受けたいのに受けられないような報道にも違和感を覚えました。

情報による暴走、メディアの作る虚構の世界で、新型コロナウィルス感染による実害よりも、インフォデミックによる実害の方が遥かに上回ったのではないでしょうか。テレビを見る時間の長い人ほど、鬱やヒステリーで健康を害した人が多かったとの分析も出されています。

 SNSで2月ごろから広く拡散したのは、「コロナはぬるま湯で治る」「納豆やヨーグルトがコロナに効く」「トイレットペーパーやティッシュペーパーがなくなる」「赤十字医療施設の医師を語るチェーンメール」など、後を絶たない状況でした。人は不安な状況が続くと、不安心理の中、少しでも役に立つ情報を得ようとします。そして役に立ちそうな情報を見つけると、「大切な情報だから友人にも伝えてあげよう」と情報の信頼度にかかわらず、友人や知人へ伝えようとします。善意が知らないうちにデマに加担し「拡散者」になっています。この内容に「いいね」やリツイートも同様、拡散に加担していると認識する必要があります。SNSが発達した現代、その拡散するスピードと範囲は、以前と比べものにならないほど速く広くなっているのです。

日本は今回の経験を教訓に、新型コロナウィルスの第2波に備えていけると思います。

世界が、新型コロナウィルスの発生と蔓延で大変な経験をしました。未だ多くの人が感染の不安を抱え、テレワークや自宅待機をしています。

そんな中、「カエルの楽園2020-百田尚樹著」をお薦めしたいと思います。

2016年に出版された「カエルの楽園」は武力侵攻をテーマにしています。今回、コロナ禍で緊急出版された「カエルの楽園2020」は、パラレルワールドのウィルス蔓延下の世界観をテーマにしています。

作者である百田尚樹氏は、

「『カエルの楽園2020』は、ある意味、現実をそのままなぞった「寓話」です。そこには近代的寓話に見られるような難解で高度な暗喩などはありません。しかし、私は敢えてそうしました。というのは、現代社会を「カエルの世界」に置き換えることで、見えてくるものがあるのではないかと考えたからです。」

まさに、今の日本社会のあり方を浮き彫りにした作品だと思います。数時間で読めてしまうので、手軽に読める本だと思います。

ストーリーは、コロナ禍における日本、中国、アメリカの状況をカエルの世界に描写し、カエルの世界だけど現実世界とリンクしていて面白い内容です。また、物語のキャラクター達が実在する人物と重なり、キャラクターの名前をヒントにとんちを解くように登場人物を予想する楽しみと、2度楽しめます。一つだけご紹介すると、物語が繰り広げられている「ナパージュ(NAPAJ)」と言う国は、逆から読むとJAPANとなります。エンディングはカエルの楽園の行く末を問う3つの結末のシナリオが用意されています。私はやはり「グッドエンディング」の結末がお気に入りです。あくまで寓話として楽しんで読んでいただけたらと思います。

【説明】

楽園を「新しい病気」が襲う。コロナ禍のこの国の行く末を問う、警告と希望の書。

二匹のアマガエルがたどり着いた夢の楽園は悲劇的な末路を迎えたはずだったが、悪夢の翌朝、二匹はなぜか再び平和な地にいた。今度の世界では、ウシガエルの国で「新しい病気」が流行っていたが、楽園のカエルたちは根拠なき楽観視を続ける。しかし、やがて楽園でも病気が広がり始め……。国難を前に迷走する政治やメディアの愚かさを浮き彫りにし、三通りの結末を提示する、警告と希望の書。(新潮社参照)

セブで起こった時系列