新年の挨拶と台風について(松田和人)
セブ日本人会 会長 松田和人
大変遅くなりましたが、謹んで新春をお祝い申し上げます。
2022年が始まり1カ月を過ぎようとしています。通常、2021年中に記事を集めて1月初めに新年号を発行しますが、12月16日に台風「オデット」がセブを直撃し、厳しい状態が続いております。
セブ島通信を購読いただいているセブ在住の皆様も例年とは違う新年をお迎えになり、不自由な生活を強いられている方も未だいらっしゃると思います。「お祝い」や「おめでとうございます」などという言葉が適切なのかと考えさせられました。しかし、厳しい中でも新年を迎えることができたことは、ありがたいことだとも痛感しました。
<台風について>
昨年も今年中にはコロナも終息し、観光客も入ってくるだろうという予測をされていた方も多かったでしょう。実際に昨年の12月は一時的に観光客を入れる寸前までいっていました。そこで感染者の急増、そして台風直撃という事態に陥り、一時はどうなることかと心配でなりませんでした。
今回の号では、このセブ島通信を今回読む方が共感していただき、また将来読む方が、セブにこういう台風が来て、どうなったか、そして何を備えておけばよかったかということも私の体験を交えてお伝えしたいと思います。
日本でも何度も台風を経験しておりましたが、直撃してもここまで強く、被害の大きなものは初めてでした。そのため全く準備をしていませんでした。台風後、いろいろな方とお話しして「本当に死ぬかと思った」とおっしゃった方もおられました。
私は家の中にいれば命の危険はないとは思っていましたが、まわりで屋根やいろんなものが飛んで、何かに当たっている音はとても恐怖でした。雨漏りもすごかったです。知り合いで「家の中で傘をさしていた」という方もいらっしゃいました。今回は台風が勢力を強めて上陸したことに加え、スピードも遅くなったため被害も大きくなったようです。
翌日になると水、電気、通信が止まっていました。最初はすぐに復旧するだろうと思っていましたが、セブ市内を見て回り、尋常じゃない光景を目の当たりにして驚愕したとともに、完全復旧まではかなりの時間を要すると感じました。
しかし、実際に水や電気のない生活を1カ月ほど経験して、こんなに不自由なのかということと、水や電気のありがたさを痛感しました。
これは同じ体験をした人との共通の感想ですが、トイレを流すのにこんなに水が必要なのかはびっくりしました。いろんな手段で水を確保し(雨水もためていました)、充電ができるところで携帯を充電し、ATMでは8時間並びました。
電気がないため、ろうそくと携帯のライトを使っておりましたが、いよいよ不自由を感じ、ソーラーと電気の充電が付いたライトを買いました。しかしその2日後に電気が復旧しました。水は1週間ほど前から夜中だけ、少し出ていることを聞き、ためて使っておりますが、まだ完全復旧しておりません。
調理器具はガスでしたが、夜は暗い上に、洗い物をする水がもったいないため、全く調理はしませんでした。
今回の台風は利便性の良いコンドミニアムに住んでいる方はあまり影響がないようでした。しかし同じコンドミニアムでも発電機が止まって高層階まで階段でという話も聞きましたので、災害には、住む場所や建物の影響が大きいと思いました。
また通信が途絶えてしまったことも、この携帯がいつでも繋がる世の中ではとても不安で大変なことでした。日本人会としても安否確認もできませんでした。未だに場所や時間によっては不安定でWIFIが復旧していないところも多くあります。緊急時の安否確認は今後のテーマだと捉えております。
30年ほど前に同程度の台風がセブに直撃したことも今回初めて耳にしました。その経験のあった方は事前の備えができていたのだと思います。日本でも災害の備えについては、よく聞いていましたが我が身になってその重要性をひしひしと感じております。
一般的ではありますが、停電や断水に備えてライトの確保、水の確保(今回は飲料水もしばらく買えませんでした)、食料の確保、ある程度の現金確保、車やバイクを所有している方は災害前の補給が必要です。他の方のご意見も参考に日頃から意識を持っていただければ幸いです。
現在継続中の「台風22号(比名:オデット)セブ義援金プロジェクト」に関しては、別記事をご参照ください。
<2021年を振り返って>
この場を借りて再度、2021年の日本人会活動を振り返ってみたいと思います。2020年同様、通常活動はできないという予測の元、計画を作っておりました。主な活動は以下の通りです。
・日本語スピーチコンテストは初のハイブリッド形式(対面とオンライン併用)で実施しました。
・リロアンにある日本人墓地への墓参、戦没者慰霊などは、限られた人数で継続しております。
・マルコポーロにある、セブ観音修復とセキュリティ強化を行いました。
・オンライン懇親会も数回実施しましたが、少人数での参加になりました。
・7月号9月号でも紹介させていただいた、外務省が在外諸団体を通じた海外在留邦人・日
系人への支援として「海外在留邦人・日系人の生活・ビジネス基盤強化事業」でした。
1…コロナ関係情報誌の作成
2…SNS情報配信(毎日配信)
3…ホットライン
4…コロナ関係セミナー
5…感染対策物資の配布
・観光エリアであるマリバゴ地区でのごみ拾いを行いました。
<2022年の活動>
オミクロン感染増加に伴い、規制が強化されているため基本的に昨年と同じ活動内容になります。まず、昨年から継続している会員情報の再度整備を完了させ、緊急連絡網とともに安否確認をどうするかを決定します。
対面イベントは当面できませんが、感染状況を見ながら可能なイベントを模索していきたいと思います。
世界的に感染状況が随時変化している中、セブもレベル3となっております。2022年、セブ日本人会は40年を迎えます。
しかし、現状の日本人会としては、一昨年同様、多くの方が帰国され会員数が大幅に減少しております。今まで以上に中長期を見据えて、会の運営を考えていきます。今、そして将来どうするかを常に考えながら活動してまいります。
本年も、セブ日本人会が会員様の皆様にとって少しでも何かのお役にたてる存在となるため、理事のメンバーと力を合わせてがんばる所存ですので、会員の皆様のご支援どうぞよろしくお願いいたします。