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爺さん籠城記 [セブ島通信5月号]

爺さん籠城記 [セブ島通信5月号]

小生、現在64歳のリタイア爺さんです。かみさんとセブに住んで十余年になります。

65歳の誕生日までは外出も出来ますが、ECQと誕生日の追いかけっこのような毎日です。

退職者ですから、出勤出来ずに困ったり仕事でストレスが溜まることがない点は恵まれているのかもしれません。

歳のせいで朝の5時過ぎには目が覚めます。ベッドでグズグズしているうちに6時前になり、ビレッジ内を1時間ばかり散歩します。ウオーキングと言うほど本格的なものではありませんが、汗びっしょりになる程度の運動にはなります。たまたま2月に始めたのですが、ECQ発令以後、ジョギング、ウオーキング、サイクリングをする人の数が明らかに増えています。

私などよりも高齢の方達も頑張っています。お互い名前も知らずとも、すれ違いざま挨拶をしますが「コロナで大変だけど、頑張ろう!」というメッセージが込められているような連帯感を感じます。ひと歩きしてシャワーを浴び血圧を測り、降圧剤を飲んで朝食。小さなテラスで夫婦差し向かいです。朝は和食です。自家ブレンドの雑穀米を小さな茶碗に軽く一膳。具沢山の味噌汁と二菜、フルーツ。よく噛んで食べると様々な穀類や野菜の食感が心に響きます。昨今は納豆や生食用の卵のデリバリーがあり助かります。運動、食事の後には気怠い睡魔が襲ってきます。このままもう目が覚めなくても良いといった満足なひととき。植物や魚の世話やユーチューブのお世話になったり、本を読んだり。最近はヤクザ映画にハマっています。以前は絶対に見なかったジャンルです。

しかし、潜在的には見たかったのを「理性」とかいうものがその欲求を押し潰していたのでしょう。新鮮そのものの新しい世界です。世間様に対してなんのしがらみも見栄も無く、自分に対して素直になってきたのかなと思っています。あと何年生きられるのかと考えれば、大袈裟ですが法に触れない範囲でやりたいことをやっておこうという境地なのかもしれません。

ECQですから食料の買い出しも一人です。気分転換の意味も含め、ほぼ毎日近所のスーパーに行きます。ありがたいことに入場制限のため長い行列があっても、シニアということで待たずに済むのはフィリピン人のホスピタリティですね。感謝。気の置けない友人と飲めないのが寂しいですが、チャットしながら晩酌を楽しんでいます。

私のようにITには縁遠い者でもユーチューブやチャットにどれほど助けられていることか。このような手段が無く、終わりの見えないECQと付き合う日々を送ることを考えるとゾッとします。時間だけは腐るほどある毎日です。開きなおって妻と二人自宅に篭り、一生のうちでこれほど贅沢に時間を費やすことが出来ることに感謝しています。

とはいえコロナが終息し、友人と対面で美酒を酌み交わす日が1日も早く来ることを祈っています。