新型コロナウイルスによる語学学校への影響 [セブ島通信5月号]

セブ日本人会理事 斉藤淳

3月10日前後から3月末までの約2週間~3週間は、語学学校のオーナーにとっては決断に決断を迫られる大変厳しい局面でした。

新型コロナウイルスの影響がここまで大きくなるとは思っていなかったのは、留学業界も同じです。私はセブ島留学のウェブサイト「マナビジン」を運営しており、語学学校さん達とは日々情報交換しておりました。また、日本人留学生にチャーター便で帰国してもらう際にも、手伝わせていただきましたので、この2ヶ月間を留学業界の視点から振り返ってみたいと思います。

「決断を迫られた3月14日(金曜日)」

そもそも2月時点ではどの語学学校オーナー(ないし、留学関係者)はあまり気にしておりませんでした。

というのもこのセブ島通信の時系列でも書いておりますが、2月時点では日本の方が危ないと言われていたのは皆さんも覚えがあると思います。

実際にフィリピンでは症例が3月6日まで約1ヶ月ほどなかったため、フィリピンは問題ないのではないか?っと思われていました。

私も2月時点では「最悪の事態は感染者が多いことではなく、飛行機が飛ばなくなることだよね(でもそんな事ありえないよね)」っと冗談っぽく話していました。

まさかそれが1ヶ月後に現実になるとは・・・

そもそも政府は、感染者が確か1000人を超えるまでロックダウンはしないと、3月の上旬では伝えていました。

それが3月12日に一気に事態が変わります。

6日に1ヶ月ぶりの感染者が出たことから、ドゥテルテ大統領が会見をして、「マニラ封鎖」を発表。ほぼロックダウン状態とのことで、留学業界も激震が走ります。

更に追い打ちをかけたのが3月14日の金曜日です。セブは対象外だったものの州知事が規制を発表。

・セブ州への国内空路による旅客の入域制限

・午後10時から午前5時までの夜間外出を禁止

・全てのレベルの公立及び私立学校を閉鎖

このタイミングで語学学校のオーナーは、自校をどうするか決断を迫られました。

生徒を日本にすぐに帰すべきなのかどうかの対応を、金曜日の授業が終わる時点で、つまり数時間のうちに判断しなければならなかったのです。

難しかったのが今回の規制の対象範囲です。語学学校が当てはまるのかどうかが、曖昧だったのです。

一部の学校はそのまま授業が出来ると解釈し、月曜日に再開に踏み切った所もあれば、生徒を早期帰国させる判断をした学校、中には有無を言わさず学校自体をすぐに閉鎖すると決断した学校もありました。

これは後ほどチャーター便時での学校対応のスピードの差、のちの学校へのクレームの数の差となって現れます。

翌日の3月15日はキャンセルのメールも届かない状態で、セブパシフィック航空のフライトは全てキャンセル。3月15日以降にチケットを購入していた方々の便は完全になくなりました。そのため数日間は別便でのチケットの再購入や返金を求めて長蛇の列が出来たと聞いています。

実際の所、その後にECQ(ほぼロックダウン状態)になったことを見れば、あの14日の時点で完全に学校を閉鎖させる、もしくは帰国を強く促した学校の判断は正しかったといえます。しかしながら、そう割り切ることができるのは他に収益源を持っている一部の語学学校や、固定費の少ない規模の小さい学校だけでした。

殆どの学校は「生徒を帰す=返金」もしくは別の対応策が必要なため、現場の混乱は目に見えています。学校オーナーとしてはやはり授業を何とか継続させる方法を模索していたはずです。

この14日だけの情報を見れば、当時の話では休校は2週間、この時点でロックダウンの話はまだでしたので、2週間休めば授業は復活出来るのぞみがありました。

また生徒の立場からしても3月に帰る予定があった方はまだしも、数ヶ月留学予定だった方にとっては納得できません。

「せっかくお金を払ってきたのに帰国させるのはどういうことだ。」「4月以降授業が再開するのだから2週間~4週間ぐらい待てる。」と、学校側に強く主張した生徒も多数いました。

もうこれ以上規制は強くならないのか、それとも更に規制が強くなるのか・・・

「激動の3月16日からの1週間」

学校オーナーや留学生の願いもむなしく、15日以降に更に規制が強化されていきます。

フィリピン航空も20日以降の便がストップするとなり、留学生は大混乱。

情報が錯綜する中、もはや一個人が自分たちで問題解決するには限界がありました。

そこで、状況把握と次のアクションにつなげるため、まずは帰国できずに困っている人たちの人数を把握するために、日本人会と有志が動くことになります。

学校側に確認を入れてみると、セブ島にある学校は約70校前後、日本人生徒の登録者数を把握した所約1000人前後がおり、そのうち帰国したい方がこの時点では200人程度でした。日本のニュースでは帰国したい方が1000人いて困っているという情報が流れたようですが、この時点では実際に帰国したい方は200名程度でした。

といっても、留学生以外と合わせると、既に現在の便数では足らない状況。

ここで、チャーター便の出番です。

チャーター便の手配の手配方法については割合しますが、一言でいえば簡単ではありませんでした。

戦争に巻き込まれているわけではないので、国は動きません。

「飛行機飛ばしたいです!人数集めました。」と持ちかければ、航空会社がサクッと飛んでくれるのかと思っていましたが、こちらもそんなやさしいものではありませんでした。

実際に成田空港側からの着陸許可もとらなければいけないので、初回は間に合わず、飛行機が翌々日に回ったぐらいです。

*なお、正確には「チャーター便」ではなく「臨時便」です。事実上はこちらでほぼ全て集客や当日までの流れを作っていたし、金額も高く、ほぼチャーター便でしたが。。。

「数千円が払えない留学生の悲劇」

チャーター便は手配する側にとっても苦労しましたが、留学生側にとっても思わぬ支出となって決断を迫られました。

チャーター便の価格は1000ドル+手数料。この価格はフィリピン航空側が提示した価格ですが、社会人ではない学生の留学生にとっては大変高い金額です。

3月は高校、大学生の多い時期。セブ島留学は他の欧米留学に比べてやはり格安です。

そのため、ギリギリのお金の準備で留学していた学生も多くいました。

現場の担当が目の当たりにしたのが、1000ドルは持ってきたけど、手数料分の約5000円が払えないためチケットを買えずに寮に戻ってしまった人です。

一時的に親や友人の力を借りるように伝えても、全員がその場で対応できるわけではありません。そういう留学生ほど先に帰らなければいけなかったのですが、事例としては一人や二人ではなかったようです。

逆に、中にはお金一円も無いにも関わらず現場に来て、たまたまそこで同じ学校の友人に会い、お金を借りることができて帰国できた、というラッキーな方もいました。

いずれにしても、一部の留学生は本当にギリギリで来ている事を目の当たりにした瞬間でした。

セブ島留学生は現地でどのぐらいお金を使うかといえば、3食込みの学校であれば、土日遊ばない限り1週間に5千ペソも使いません。

私の知人で7ヶ月の留学をした方がいましたが、なんと7ヶ月で5万ペソも使わなかったと話していました!!

さすがにこれは極端な例ですが、そういう生活もやろうと思えばできるぐらい、留学の仕方によっては費用がかからないのです。

一部の留学生はその3食を当てにしており、お小遣いと呼べるほどのお金さえ持ってきていません。もしくは現金は少なめで、クレジットカードで支払っていました。

学生のクレジットカードの上限は20万円程度の場合も多く、ここでもチケット購入時に苦労された留学生は多々いました。

「語学学校の現在の状況」

3月20日、21日、22日、27日、28日の便、そして4月15日の便でほとんどの留学生は帰国しました。

現在の語学学校の様子といえば、生徒が完全にいなくなった学校は休校しています。まだ生徒が残っている学校は宿泊施設と食事の提供を行っています。

これだけ長引くのであれば(地主との交渉次第だと思いますが)、維持するよりも一度手放す、という選択をするオーナーもいるかもしれません。

元々3月末で授業が再開出来る予定が、4月末まで伸び、今は5月末まで伸びています。もしかしたら更に伸びる可能性さえあるのは、学校オーナーにとって今も続く悩ましい問題です。

いずれにしても、オンラインに移行するか、それとも休校や閉校するか、授業を再開するか、いずれにしてもEQCの解除が待たれます。

引き続き日本人会としては、語学学校と連携しながら日本人留学生の安否も確認してまいります。

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